平井さんは、
何年か前「こどもの広場」のスタッフでもありました。
「ふくちゃん」の愛称で呼ばれていました。
今では2児のお母さん。
みんなで応援してます。







2011.09.最終回

「娘といっしょに5年生」


「あ〜、今月も、締め切り・・・原稿、どうしよぉ〜〜〜」
まあ、いつものね、またかあちゃん、言ってる〜という感じ。
「1週間早く締め切りを設定しておけば、らくらくっと原稿が出せるのに・・・」
と、ごもっともの意見を、毎月、家族全員から浴びせられます。

ところが、今月はいつもの「どうしよぉ〜」に対して、娘のひとことが違いました。
「もう、ゆらのこと、書かんでほしい」
・・・・、・・・・・。

「まあ、そやね、ゆらのきもち、わかる。」そう切り出した夫。
わたしにだって、わかるよ、・・・多分。
これまで、未熟な親である私が、娘の成長を通じて改めて気づくさまざまなことを書いてきました。弁解すれば、描いてきたのは娘ではなくわたし自身だと思っています。

「もう、書かんでほしい。」
娘に念を押されて、「わかった、もう、書かんよ。でも、なんでそう思ったか教えてくれん?」
この場にきても、まだ娘の口から出た言葉を記録しようとするわたし。
黙ったままの娘。
「でも、このまま書いて、6年生、卒業。で、はいおしまいっていうよりは、この終わり方の方が本物らしくていいよ。」
と夫に言われ、そうだね、としみじみしてしまうわたしです。

今までは、同じ世界に漂っていた母親と娘の人生。
娘は、今そのぼんやりとした中に感じる境界線らしきものを表明したのです。
自分と母親はちがう。母親の書く「ゆらちゃん」は自分ではない。「平井ゆら」は自分なんだ、ここにいる、と。そんな娘の気持ちを尊重しないわけにはいきません。

小学5年生。母親だっていっしょに5年生。
悩んだり戸惑ったり、不安だったり葛藤だったり、きっとこれからもいろんなことが起こると思います。
月並みですが、この場を提供してくださったこどもの広場の皆さま、そしてこれまで度々書けなくなったわたしを励ましてくださった皆さま、本当にありがとうございました。


平井和枝













バックナンバー

2011.06.「宿泊学習」
2011.04.「時を越えて」
2011.07.「本のおしごと」
2011.05.「ともだち」













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