2020.5.

「前向き」

 新型コロナウイルスの蔓延はようやく少しずつ収束に向かっているのでしょうか。まだまだ油断は許 されないのでしょうが、目に見えない微小のウイルスに振り回されるヒト社会の弱さも見えてきました ね。でも、でも、そうは言っても簡単に引き下がる訳にはいきません。母親の体内から生まれた瞬間か らひと時も休まず変化してきた私たちです。

 時々遊びに来てくれる K ちゃんが 1 ヶ月ぶりくらいに「こどもの広場」にやってきました。子どもた ちが遊べるように木のおもちゃの置いてある小さなコーナーがありますがいつもそこにまっしぐら・・・ しかし今日は一瞬行動が止まりました。いつものおもちゃではなく全部木でできたおままごとコーナー に変わっていたからです。シンクやコンロ。鍋もお皿も箸も美しい木材で作ってあります。K ちゃんの一 瞬の静止は予測していた場所と違う!という戸惑い。しかし次の瞬間あっという間に鍋はコンロの上、 茶碗は並べられ、蛇口から水が注がれ、お父さんのところに「はい。お茶です!」と持ってきました。 初めての状況への対応の素早さは、自分の好奇心と今日まで体験してきたことの総動員で難なく乗り越 える。子どもにとってはものすごく当たり前の事です。K ちゃんもうすぐ 3 歳。

 どこに行ってもマスクもない。消毒しろと言われても消毒液は売ってない。大変大変!と言っている と誰かがマスクを作り、度数の高いお酒がアルコール消毒に使えると言い出し。大人だって変化を見き わめるまでちょっぴり時間はかかるかもしれないけど大丈夫!!ヒトは知性も感性も行動力も赤ちゃん の時から蓄積してきたんだもん!でも、でも、毎日家にいてばかりでは心が固まって暗くなってくる。

 遠くにいる子どもに、楽しい本を送って欲しいという年配の方の来店が増えている。離れている誰か の事に思いを巡らし一緒に本を選ぶ時間が、私たちにも明るさのお裾分けです。

 桜並木が緑の葉に覆われた木漏れ日の道で空を見上げ、慎重に、でも少しずつ前向きに日常と明るさ を取り戻したいものですね。お元気で。




横山眞佐子











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