2015.05.

「ありのままで〜」

「こんにちは。ボク一年生になりました。いろいろありがとうございました。」

 先ごろ、こどもの広場の入り口から元気な声が響いてきました。
出てみると、赤ちゃんの時から、いや、そのお母さんも赤ちゃんの頃から毎日のように「こどもの広場」に来てくれていたキッペイくんが、ダブダブの制服に帽子、そして大きなランドセルを背負って玄関にピシッと立っています。
思わずこちらも普段の
「お〜キッペイ!どした?」なんていうタメ口ではなく
「おめでとうございます。小学校はどうですか?」ときちんと聞きながら、1人かな?とあたりを見回してしまいました。
近所とはいえ今まで1人で来たことはほとんどないのです。

 「1人?」と尋ねると緊張をといて
「うん。ボク学校の帰り。お礼の挨拶に来たんよ。」とりっぱな言葉が返ってきてちょっと感動。
お礼を言われるほどのことをしたとは思えないけど、赤ちゃんの時から自分の本箱のようにおばあちゃんやお母さんと来ていて、スタッフみんなも「うちの子」と思うくらいの親しさを持っています。
でも目の前の彼からは、この人生の一区切り、赤ちゃん扱いではなく、一人の子どもとして一歩踏み出したんだという自信と力が伝わって来ます。
これからは人間と人間、対等でやろうね!という挨拶かもしれません。
学校には友達とお兄ちゃん達と「ヒミツ」の近道を通って行くとか、宿題は簡単とか、給食はおかわりしたとか楽しい話しをしてくれて、みんなに見送られ意気揚々と帰って行きましたが、昨日までの彼とは大違いの意欲がいっぱいなのです。
子どもの成長は坂道を登るのではなく、一段毎に高みに登る階段みたい。
次の段は高いぞ!と思っても頑張って足をかけ、前を向き、見えないてっぺん目指して歩くのです。
そばにいる大人は手を貸してはいけません。
せっかく自分で見つけた道です。
石ころだらけでも、草ぼうぼうでも、自分で避けたり、またいだり、草刈りしたりして進めることが嬉しいのです。
当分の間は、いよいよ危険の時に手が貸せるようにスタンバイですけど。

 夕方おばあちゃんが来店。
今日のキッペイくんのかっこよさを話すと、
「実は先日大泣きされたの。私は心配だから後ろからついて行っただけなのに・・」

 泣きますよね〜。
ヒミツの通学路で独り立ちしようとしているのに、おばあちゃん連れだなんて!!
注意注意。




横山眞佐子











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