2014.11.

「変わること変わらないこと」

 11月23日、勤労感謝の日に「こどもの広場」を開店した。
今年で35年。
当時、児童書の専門店なんて聞いたこともない。
一体それ何?と言われた。
全国で30店にも満たない数だった。
当時「子どもの本」のイメージは、大抵は子どもっぽいもの・・お花や目の大きい女の子やかわいい動物が描かれたちょっと分厚いページのエホンか、名作をダイジェストにした童話全集だったが、心ある出版社や作家達が本当に子どもを見つめた本をどんどん作り始めたのもこの頃だ。

 日々新たに出版される本が魅力的だった。
子どもの本の世界は大いに変わった。
上り坂だった。
一冊の絵本を買い、大事に何回も子どもとともに読み、親子とも空で物語を言えるほど本が両者の絆になっていた。
今はどうか?
各地で図書館が整備された。
これはいい変化。
でも一度に5冊も10冊も借りられるようになり、次々に取り替えて読む。
自分のものではないから大切にはしない。
返してしまえば忘れてしまう。
いやいやもっと変わった。
本はかさばるし邪魔になるから、タブレットの画面に呼び出し指で操作すれば、動くし読み聞かせもしてくれる。
子どもに持たせておけば、静かにしてくれて助かる。と考える大人も増えてきた。

 でも、変わらないことがある。
今だって、子どもたちは、読み聞かせのおばちゃん達が、30年も前の絵本を読むと釘づけになる。
「もう一回!」という声もかかる。
小さい人はじんわりと膝の上に乗ろうとする。
社会の変化を大人が押し付けない限り子どもの心の成長は人間として変わらず進んでいく。

 朝から晴天の定休日の月曜日、自宅で庭いじりしていたら学校帰りの小学生たちの声が愉快そうに前の駐車場で聞こえる。
覗いてみたら陽の当たるコンクリートに思い思いに座り、皆んなで宿題のノートを広げてなにか書いている。
寝そべっている男の子もいる。
喋ったり笑ったりしながら。
友達と一緒にいることの楽しさ、自然の穏やかさに身を置く嬉しさ、ずっと子どもの特権。
変わらない時間が流れている。

 衆議院解散選挙。
知らないうちに変えられる危険性のある問題がたくさんある。
だからこそ、知って変える意志が必要。
これからの時代を生きる子どもたちが平和で幸せにいられるように流されない変え方を学ばなくてはいけない。



横山眞佐子











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