2014.10.

「庭仕事」

 秋晴れ。
一週間前から首から肩へ痛みがありウガイもままならない。
鍼灸にいったり、温めたりしているが、ようやくウガイの水が喉に当たるくらまでには回復した。
休日を寝て過ごしたいが、庭を見れば盛大に雑草が!
もう一ヶ月は放置していたと反省して、痛い首はなるべく動かさないようにしようと、完全装備で草刈り隊になる。
このあいだは、カヤツリグサの類とヨモギやドクダミが優勢だったのに、今は花壇からはみ出たミントが押し寄せている。
刈ればウットリいい匂い。
ピンクのオキザリスを植えたのははるか20年も昔。
今では野生化してあちこちに。
まだ引き抜くには惜しいのでそのままに。

 困った植物の代表はランタナとオシロイバナ。
種がやたらと丈夫で多産。
ちょっと目を離すと、庭中に広がり、しかも根が太くて深い。
今の季節こぼれ種から数センチの芽が出ているが、見つけ次第根元から掘り返す。
でないと、来年恐ろしいことになる。

 シャベルで根を掘りながら、ちょっとスマンと思う。
せっかく芽をだしたのに花も咲かさずね!
温情は庭作りには禁物!
一本の苗を残すとどうなるか。
来年のことを考える。

 私は地上に咲く花や野菜の事を考えて、土を作り、雑草を抜き、肥料を入れる。
地下では、私に抜かれなかった雑草が根を張り、その間にミミズが穴をほり、ダンゴムシが落ち葉を食べる。
人間が地球の表面で様々な策を労しちょっとだけ住みやすいようにしているけど、本当は目も手も及ばぬ世界が足の下にある。

 エボラ出血熱の感染が止まらない。
アメリカにも、日本にもそのウイルスがやってくる。
目に見えない世界の生き物のことを私たちは普段あまり気にしていない。
いざ、悪いことが自分たちの身に起きると初めて、やれワクチンだ、治療薬だと騒ぎ始める。
アフリカでの感染にはいままで無関心だった。
目に見える患者が出なければ無いと同じ。

 一昨年「土の話」という絵本を画家の黒田征太郎さんと、発酵学者の小泉武夫さんが出された。
放射能に汚染された、福島の土地。
もし人間の力で放射能をなんとかしようとすれば、何万年もの歳月がかかるが、コップ一杯の土の中に住む600億個のバクテリアが汚染された土を分解したら、10年くらいで元のようになるのではないかと書かれていた。

 目に見える草木や生き物を切ったり、殺したり、食べたり、飼ったり、育てたりしている私たち。
でも、人間には見えていない無数の生き物で地球はいっぱいなんだ、と痛い首を仰向けてちょっと宇宙的になった秋の1日。



横山眞佐子











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