2014.03.

「ほんとにいいの?」

 4月になると、子どもたちのいる家庭ではいろいろな変化が起きる。
保育園や幼稚園に入る。
学校に入学、あるいは、学年が上がる。
親も大変、子どもも大変!
でも、受け入れる園や学校も大変!

 もう、8年も前、わたしは幼稚園の園長だった。
もちろん初心者。
両親の面接で申し訳なさそうに
「この子、早生まれで、まだオムツが取れてないんです。入園までに取れるように頑張ってみます」
というお母さんにわたしは
「大丈夫ですよ。その子その子の育ちのスピードに合わせて、無理せずやって下さい」と答えた。
ところが、先日保育に携わっている方から
「近頃は、オムツで入園する3歳児が増えているの」
お母さんから「オムツでも平気なの。失敗させると、部屋も汚れるし。園でお願いします」とか
「オムツは余り沢山使わないで下さいね」とか言われると聞いた。
ビックリ!
すると、また別の小学校の先生が言った。
「一年生で朝ご飯食べてこない子がいてね、お母さんに頼んだら、朝ご飯食べないのはうちの習慣ですから、って」
ビックリ!
いや、ビックリしない?
個人個人の差は大切に。
朝ご飯のことまで、学校にとやかく言われたくない。
自由でしょう?
ウーン、なんか違う気がするんだが??

 精神科医の堀有伸氏が新聞に「失敗を経験し、周囲から許される経験が必須、この経験を通じて他者に感謝することを学ぶ」と書かれており、小さな失敗を繰り返しながら、成長して行くことは大事なこと。
何もかも他の人にやってもらっていた赤ちゃんが、自分の排泄を知らせること、知らせた時にはもう遅かった!
でも、また次にチャレンジ。
そのうち成功して、チョッピリ成長する。
「できた!」と一番に知らせたい人は一緒にいてくれたお母さんやお父さんのはず。
上等になって気持ち悪さを感じないオムツでは赤ちゃんもオシッコ一杯でも平気。その分高いから、親はなるべく取り替える回数を減らしたい。
いいのか悪いのか?
便利や効率の良さは情愛や愛おしさを育てない。

 2月28日に104歳で亡くなったまど・みちおさんの「ぞうさん」の歌は誰でも知っている。
「ぞうさんぞうさん おはながながいのね」
とからかわれた子どもの象が
「そうよ かあさんもながいのよ」
と胸張って、からかいを跳ね返す。
そこには母から愛されていると信じられるからこその自信が感じられる。
学校に行き新しい環境で懸命に学ぼうとしている子どもが朝からなにも食べていなかったらどうなるのか。
先生は毎日こっそりコンビニで小さなパンを買って学校に行かれたそうだ。

 4月、子どもたちが伸びやかに笑っていられますように。



横山眞佐子











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