2014.01.

「広場」

 数日前から、食事のメニューを作り、一人分ずつの入るパッケージにどう入れるか、味付けは、誰が何をつくるのか、買い物は?ねだんは?などなど、夢はどんどんふくらんでいった。
1月末、こどもの広場でバイオリンとコントラバスのディオグループ、「デュオ ダイヤローグス」の演奏会を開くことになったからだ。
限定30人。
軽食、ワンドリンク付きで会費2000円。
演奏者二人はほぼボランティア。
もちろん子どもの広場も利益なんかなし。
それでも、面白がりの4人の広場メンバーは、自分の時間も、お金も使って、あーでもない、こーでもないと考える。
やっと食事、飲み物の計画に目鼻が付き、さて、会場のレイアウトをどうするか?
あれを、こうやり、あそこを片付け、と考えていて、今から約25年前、別の場所にあった小ちゃな子どもの広場からこの30坪の場所に移った頃、年に4回くらい、ここで100人もの人が座り込んで講演を聞いたり議論したり、音楽を聴いたりしたことを思い出した。
そうするためにわざわざ展示台は椅子とテーブルになるように作ってもらったし、友人が座布団100枚も縫ってくれた。
イジメや不登校のことを夜中まで話してくれた教育評論家遠藤豊吉氏。
自分の娘育てのことや、心の病を持っているひととの豊かな付き合いについて語った精神科医なだいなだ氏。
障害のある子どもは普通学級に通わせるのがいいのか、それともサポートの整った養護学校がいいのか、掴み合わんばかりに白熱した議論になった、小児科医毛利子来氏。
既に亡くなられたり、高齢になられたりしている。
その頃、若く自分たちの生き方を考えたり悩んだり、だから学ぶことに貪欲だったりした人たちが、この日久しぶりに、少し髪が白くなり、背中が丸くなりガブガブ飲んでいたアルコールも一杯だけになって来てくれた。
そして、そんなことを知らない、若いあのころの私たちみたいな人たちも。
若いスタッフももちろん初めての「広場」体験。
重い本箱を動かし、本屋に空間が出来、頂いた小さな幼稚園椅子が並べられると、本に囲まれたホールが出来た。
バイオリ二スト谷本仰さん、コントラバスのフクヤマワタルさんが互いに音をやり取りしながら演奏する、演歌、タンゴ、ニューミュージック、クラシック、私にもその軽妙で、豊かな音が渡されるような気持ちになった。
みんなも肩から力が抜け、リズムに身体を任せて、私と同じように、心地よい音をもらって帰ってくれたかしら?

 「広場」と名付けたこの空間。
忘れていたけど、時々いろんな広場になるようにもう一度がんばってみようかな。
楽しんだり、考えたり、悩んだりする場所として。



横山眞佐子











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