2013.03.

「真似する」

 我が家には二年前にふれあいセンターから救出してきた犬がいます。
センターではおりの中で大声で吠え続けていたのに、家に連れて帰ってからは、全く吠えず、静かで賢くて遠慮がちなコーギーの雑種。
一日中家にいる母の忠実な介護犬になっています。
ところがある時ビーグル犬二匹と一緒に散歩に行くことになりました。
ヤンチャで強気なオス犬と、しかし権力は握っている母犬。
さてどうなるやらと思っていると、我が家の犬さん、すっかりヤンチャ、強気に感化され、リードは引っ張るは、好き勝手なほうに行こうとするは、弱いものにワンワン吠えるは!
真似です。
また、友人の飼った子犬は不良になるから当分他の犬に外で合わせてはいけないと言われたとか。真似は人間だけではないのです。

 庭に撒いた古米を食べにやってくる雀達。
これは一番幼いまだ和毛が残っているような子雀が一番大胆で大人の雀はそれを見て真似しています。
経験がないからこそ怖いもの知らずに振る舞えるということかもしれません。

 赤ちゃんを抱っこしたお母さんが美味しそうな果物が書かれた絵本を広げています。
赤ちゃんは本を見たりお母さんの顔を振り返って見たり。
お母さんが「りんご、美味しそう。もぐもぐもぐ。あー美味しい」とつまんで食べて噛む真似をすると、赤ちゃんはジッとそのお母さんの仕草を観察しています。
「あっくんも食べる? はいどうぞ」
お母さんは紙の上に描かれたりんごをつまんであっくんの口に持っていきます。
あっくん口を開けお母さんの手から見えないけど存在するりんごをぱくり。
もぐもぐもぐ。
「これでいい?」と言うようにお母さんを振り返ります。
観察していると、すごいことに気がつきます。
赤ちゃんの成長戦略は真似です。
どんなことでも真似できます。
一回やれば、もう学習してしまいます。
泣けば抱っこ。
笑えば相手をご機嫌にさせられる。
困った顔すれば助けてくれる。
欲しいものは指差して「あ、あ、あ、」といえば取ってくれる。

 次第にそれらは真似ではなくその子の考えや行動や想像力の元になっていく。
沢山の真似するべき素敵なことに出会える社会でありたい。
そう思うのですが、今朝も大量のゴミをコンビニのゴミ箱に押し込んでいるお兄ちゃん見ましたよ。
だれの真似かしらね。



横山眞佐子











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