2011.09.

「伝える」


おもしろいなあと思うことがあった。

今年の夏はめったやたらと「エコ」だったよ。
なにしろ節電、暑さはクーラーではなく、他のものでしのごう!
ってわけで、園芸店ではゴーヤが緑のカーテン用に大量に売れたとか。
確かに見た目も爽やかで繊細なツル植物が窓の外にすだれみたいになって日光を防いでくれたら1度や2度は室温が下がるに違いない。
植物の力はたいしたもん。
でも夏、ツルを延ばすのはゴーヤだけではないよ。
8月に入ると地面や森の木を覆いつくさんばかりに生え広がるのはクズ。

ゴーヤの比ではなく葉っぱは大きくて作る日陰は半端じゃない。
いつも通る道の崖の上からどんどんクズのツルが伸びてきて、とうとう4mもの石垣を覆い尽くしてしまい、車道にまで出て来そうになっていたところ、
「アレ!!」。
チェーンソウの音がしていたと思ったら、きれいさっぱり地面の赤土がむき出しになるほど刈られてしまっていた。

当然とはいえ、ゴーヤは大事にされ、クズは邪険にされる。
崖と傍の家はクズのお陰で1〜2度は涼しいエコだったはずなのに。
人間のすることは面白い。


買い物に行ったスーパーの外で「まって?!まって?!」と子どもの声。
3歳くらいの男の子が半なきでお母さんの後を追いかけている。
サンダルはいた小さな足がもつれそうになる。
「危ないなあ、駐車場だよ」と思ったとたんころんだ!
倒れたまま、声が大きくなる。
やっと立ち止まったお母さんがこちらに身体を振り向けた。
小さな茶色のトイプードルが腕に抱かれておかあさんにべったり。
あらら、子どもが二人か、いや一匹と一人?
犬を降ろして、子どもを抱き上げるよね?と思った私は甘かった。
ちょっと立ち止まったけどおかあさんはそのまま停めてある車の方に歩き出してしまった。
気の毒な男の子はのろのろ立ち上がると泣きながら車の方へ行き、自分でドアを開け、車のなかによじのぼって消えた。
犬は抱っこで子どもは自力。
人間のすることは恐ろしい。


 流行、風評、善意の押しつけ、なんでもかんでも押し寄せてくるね。ちょっと立ち止まったり、すこし離れて見たりすると、つまり客観的ってことだけど自分はどうしたかったのかに気が付いたり。これから大きくなる子どもたちにもそんな方法伝えたいね。


横山眞佐子












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