2016.11.



 旭はどうも負けることが嫌いみたいです。トランプで遊んだ時とか、ベイブレードで対 戦した時など自分が勝っている時は上機嫌なのですが、分が悪くなると途端に不機嫌にな り「パパの負け。僕の勝ち!」と言ってガシャンとゲームを台無しにしてしまうことがあ ります。一人勝ちの旭の振る舞いにやれやれと思う時もあれば、これでは良くないからと 「負け」を認めさせようとすると、鬼のような形相で私を睨みます。勝負というより負け ることの不公平感を嫌がっている節もあったりして困っています。

 この日は小学校で「学習発表会」がありました。演目は「おしゃべりなたまごやき」で 旭は鳥小屋のニワトリを逃がした犯人が王様だと言う隊長の役です。黒い円筒形の帽子を 被り王様の横で体を左右に振って歌う姿は可愛らしく、観劇した祖父母も「たいしたもん」 と褒めてくれました。終演後のバザーでもその話になり、うどんを啜る旭もご機嫌でした。 事件はその後です。バザーには輪投げやダーツコーナーもあり、気になる旭は食事もそこ そこに遊びに行きました。祖父母も帰り、PTAのお手伝いに行っているママを待っていると、 旭が肩を落とし泣きながら帰ってきました。どうしたんと聞くと、鉄砲の景品が欲しかっ たのに自分だけもらえなかったらしいのです。「A君やB君は貰ったのにあっ君だけくれんか った」と口を尖らせ喚いています。実の所、鉄砲が貰える点数を旭が取っていなかったか らなのですが本人は納得してません。見かねた友達が「僕のをあげる」と旭に鉄砲を手渡 してくれたのですが、私が「それはダメ」と言って返したことに旭が腹を立て、「何でダメ なん!くれるって言ったほい!」と「じらくり」始めました。私も我慢の限界で羞恥心も 相まって「もう帰るよ!」と言って怒って帰ってしまいました。

 振り返ると私に叱られた旭がトボトボついてきます。「いい加減にしろよ」という私の視 線に気づくとビクッと立ち止まってしまいました。悔しい気持ちを泣くことでしか表現で きないのかなと思いつつも、ホント手を焼かせやがって。やれやれどうしたものか。親の 顔が見てみたいわ。 あ、失礼しました。
昇より



















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