2015.11.



 水曜日は憂鬱なんです。
前の晩から沈んだ顔になり元気がなくなります。
私じゃなくて旭が。
ママからギュッと抱きしめられて「おまじない」をしてもらっても、浮かない顔で繰り返し繰り返し同じ言葉を言ってきます。
「明日のスイミング行きたくないなぁ。」

 この日も朝から元気がありません。
ママは朝の生放送の為いませんから私が朝の支度を手伝います。
大丈夫だよと励ますのですが彼の心には届かず、泣きながら目玉焼きを噛んでいます。
そういえば私も子どもの頃厳しい水泳の練習を嫌がって母を困らせていたなと、ぐしゃぐしゃな旭の泣き顔を見ながら思い出していたのですが、本人はそれどころではありません。

 スイミングは保育園の習い事の一環で、7月から毎週水曜日に近くのスイミングクラブで習っています。
当初は「大きいお風呂だ!」と言って楽しそうにしていたのですが、ある日突然嫌がるようになりました。
事情を聞くと「インストラクターの先生に怒られたから」というのは建前で、実際は「輪くぐり。」
プールに沈めた輪っかをすり抜ける遊び、どうやらこれができないらしい。
みんなができて自分が出来ないのが恥ずかしくて悔しいのが本音のようです。
「あの子妙に完璧を求めすぎるんよね」と心配になったママが、休みの日にこっそり見学に行きました。
それを目ざとく見つけた旭は安心したのか上機嫌(この日輪くぐりはありませんでした)。
ママから楽しそうに遊ぶ写真が送られてきて私もホッとしたのですが、一週間ごとに思い出したように「水曜日の憂鬱」がやってきます。

 登園すると「パパから先生にできませんってお願いして」と言われ、ちゃんと先生に言ったかどうかじっと私を窺っています。
そこは先生も承知のうえ、満面の笑みで旭を安心させてくれますけど・・・

 そんな水曜日ともお別れ。
苦手の輪くぐりできましたと帰宅早々ママから報告あり、当の旭に聞くと「嫌だったけど出来た」と複雑な笑顔で応えます。(この日は怖くなかったらしい)
とにもかくにもあーやれやれ。
2015年10月14日は「旭が輪くぐりできた日」だと一安心したのですが、翌週の火曜日の夜、旭がこぼした日のことは一生忘れないでしょうね。

「明日のスイミング行きたくないなぁ。」

昇より

















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