2016.12.

「ほどほどの魅力」


 娘が、結婚しました。山口県の厚狭駅前で、イルミネーションの点灯式と繋げた、たった一 組の人前結婚式に選ばれたのです。選ばれたといいましたが、応募は二組。そのうち一組は辞 退して、結局娘たちしか結婚式を希望する者がいなかったらしいです。無理もありませんよね え、寒いし、挙式のバックは「寝太郎翁」ですもん。

 さて、当日は、夕方から雨。「こりゃこまった。イスガ濡れてすわれませんよねえ」と主催 者。わああ、立ちっぱなしかぁ?。。

 ところが、地元のおじさまたちが、商工会のテントを急ごしらえで設営してくれて、テント にぼっつんぼっつん落ちる雨音を聴きながら、テントのはしっこから流れ落ちてくる雨水をよ けながらの、挙式となりました。。

 イルミネーションは、地元の人たちが、1個千円の缶バッジを売って、その売上高分が電飾 になったということ。そして、その缶バッジで当日の挙式後に、お楽しみの福引ができるとい う仕掛け。地味に点滅する光は、みんなが寄せてくれた好意と福引への期待のしるし。 テントの周りに集まった人々の思いは、娘たちへも、テントのはしっこに据えられた福引セッ トにも平等に注がれている感じ。。

 オープニングのハンドベルは、町内のお母さんたちが一生懸命練習してくださったようで、 音が出たり出なかったり、早すぎたり遅すぎたり・・・衣装もあまりの寒さに山岳救助隊のよ うないでたち。式の最後に登場してくださった「スペシャルゲスト」が披露してくださったの は、なぜか情熱のフラメンコ! 「お二人にぴったりの曲です!皆さんも手拍子でどうぞ!」 と言われ、かかった曲は、西郷輝彦の「星のフラメンコ」! 裏拍がうまくとれずに、みんな てんでばらばらの宴会並みの手拍子。。

 おまけに大音量で流れた♪好きなんだけど はなれてるのさ?は、なかなか微妙な歌詞。。

 それでも、おばあちゃんに手を引かれて式をながめていた小さな女の子が、うっとりした瞳 で「きれ?い」とつぶやいてくれた。その手をキュッと引き寄せて、おばあちゃんが「あんた も、20年もたったら、あんなんになるんよ」。とってもいい光景でした。。

 身の丈に合った結婚式。そして、その式を見上げた女の子の夢に繋がっていく結婚式。 感謝の気持ちでいっぱいです。みなさん、ありがとう。 湿っぽいのは当日の空だけで、私たち家族は笑いすぎて涙が一滴も出ませんでした。


村中李衣















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