2011.05.

「今どき抱卵事情?!」


 ようやく花粉の猛攻撃をかわすことができ始めたこの頃です。
久しぶりに大好きな、山の保育園に遊びに行きました。
すると、ねぇねぇ、りえさん、どう思います?
と園長先生がお見せくださったのは、シジュウカラの巣。
木のポストの中にはふかふかの苔を下敷きにして、その上に保育園で飼っている羊の毛を使ったウール100%のまあるい巣が1つ。
と思ったら、あらら、2つ並んでいます。
ひとつの巣の中には卵が6個。
もうひとつの中には2個。
これは、どういうことなんでしょうか?

 園長先生のお話では、メスの親鳥は、1日に何度かやってくるようですが、いつも1羽で、6個の巣の方にしゃがんでいたり、2個の巣の方へしゃがんでいたりするそうです。

 それって、第一夫人と第二夫人が顔を合わせないように別々にやってくるっていうことかしら?
それとも、ひとりの母鳥が、あっちとこっちに産み分けして、気分でかわるがわるにあたためてるってこと?
それともそれとも…
とあれこれ妙な子育て事情を想像してしまいます。

 ここは、生き物に詳しい人に聞いてみようと絵本作家の近藤くみこさんに電話してみると、
「とにかく人間の匂いとかを巣につけたらあかんで。
 いらん想像する前にちゃんと人間の領分わきまえてしっかり観察することやな」。
なるほどなるほど。

 それから、珍しいことの大好きなこどもの広場の店長に電話したら
「そりゃぁあなた、たまたま二羽が同じ箱の中に巣を作っただけよ。
 二羽が同時に巣にいないのは、たまたまよ。
 っていうか、せまいポストの中に二羽はいっしょにいられないでしょ、別に夫が同じじゃなくっても」
と、私の邪推に半ばあきれたようにおっしゃる。
それからおまけのように、
「シジュウカラって、『始終空』っていうくらいだから、とにかくあんまり巣に執着してないんじゃないの?」
ですって。
へぇ、そうなんだとまじめにうなずいてしまった私。

 でもね、シジュウカラという名前のほんとの語源は「シジウ」という鳴き声に鳥類の意味の「カラ」がくっついたものらしいです。
「四十雀」という文字どおり「雀の40倍の価値」という説なんかもあるらしいけれど。

 だんだん、シジュウカラの生態を知りたくなってきて、鳥の図鑑やインターネットの観察日記なんてのをいろいろ見てみたけれど、巣箱の中にふたつの巣があって、両方にちゃんと卵が産んであるっていうのは、どこにも情報がなかった。

 う〜ん、世の中には謎がいっぱいだぁ。

 だれか、ほんとのことをご存じだったら、「始終空」のひろばの店長か「四六時中空」の村中をなんとか捕まえて、こっそりお教えくださいな。


村中李衣













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